【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「よお、相馬」
「陽向さん、呑んでますねー」
莉華さんに注いで貰いながら、いい感じに酔っていく陽向さんは、隣の兄に酒を勧めた。
「陽希さん、暗いですよ?何かありました?」
一方で、俯いている陽希さんと魅雨さん。
なにか、あったんだろうか。
様子を窺いながら、自分の席に腰を下ろす。
「……あれ?親父、帰ってたんだ?お帰り」
すると、視界に17年ぶりの父親が入ったので、軽く会釈して、お茶を口にした。
風呂上がりなもんで、喉が乾いているが、このあと、車を運転しなければならないので、お茶で我慢だ。
冷えたお茶を飲み干し、箸を持つと。
「……それだけ?」
って、声が聞こえた。
顔をあげると、姉さんが、俺をじっと見ていて。
「なんだよ?」
「いや、父さんに対して……それだけ、なのか、と、思って……」
「はぁ?別に、放浪してて、帰ってきたんだから、お帰りで間違ってねぇだろうがよ。母さんに抱いている恨みなんて、父さんに一滴たりともねぇから、普通に挨拶したんだ。なんか、問題が?」
「い、いや……」
姉の釈然としない態度に、俺は首をかしげ、とりあえず、料理を口に運んだ。
すると、
「俺のこと、恨んでねぇの?」
自分の生き写しのような父が、尋ねてきた。