【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


恐る恐る、目を開けた。


「?……夕蘭か?」


視界に飛び込んできたのは、13人の守護聖達。


私は首を横に振り、微笑みかけた。


私は……


「……?」


おかしい、声がでない。


息はできるのに、声がでない。


「……っ、ぁ……っ……!!」


さっきまで、出ていたのに。


「……ここは、神の精神が集まる世界だ。人間のそなたが声を出せないなど、当然の道理。氷、風、地、水、夢、炎、生命、光、闇、時、音、歌、空……全ての守護聖の集う、世界……」


彼が、真横に手を振る。


「そなたは、ずっと、死ぬことを望んでいたはずだ。なのになぜ、今更、生きることを望むんだ?」


それは、相馬と出逢ったから。


生きる意味を、幸せを、与えてもらったから。


愛する喜びを知ったから。


双子が生まれて、抱きたいから。


……私は、欲張りで。


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