【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
黒く長い髪をひとつに纏め、揺らす貴方は。
「……っ!」
(私を救ってくれた人……っ!)
声がでないので、代わりに心のなかで叫んだ。
「久しぶり……だな」
幼いあの日の私の記憶。
雪さんの言葉で混乱したときに、思い出した断片的な記憶が今、甦る。
「大丈夫だよ。沙耶は死なせない」
そっと、首に触れられて。
「今、解いてあげるから」
思い出すのは、男の人に首を絞められる記憶。
あれは、まだ、四歳のときだったか。
『鳴海秀征』
記憶を見たときに呟いた、その名前。
「当主の呪いか……いや、央耀の呪いだな」
呪い?
それが、私を苦しめる?
私を、死に貶めた?
「……っ……」
「沙耶、苦しい?」
首を絞められたときのように、息ができなくなった。
私、この感じを知っている。