【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「まぁ、一人立ちしているしな。今更、親の世話にはならねぇよ。総一郎兄さんは、どこにいるんだか……」
体が弱く、入退院を繰り返す兄は、アメリカの病院に治療に行った限り、音信不通で。
千華と春馬の血を濃く、継いでいやがる。
この間、戻ってきたら、結婚するから!っていうメールがパソコンに入ってきていたから、生きてはいるんだろうが……
(いや、居場所!)
って、心の底から思った記憶がある。
つか、アメリカに行って、日本人と結婚……いいんだが、いつの間に女を口説いて、連れていったんだ?
兄の行動には、疑問しかない。
「姉さんも、なんだかんだ言って、悠仁さんとうまくいきそうだしなぁ……」
最初の頃はあんなに拒絶していたくせに、今は、なくてはならない存在にまで昇格している悠仁さん。
良いことなんだが、何て言うか、あの日とは二重人格者だから、厄介である。
いつものほほんとしているくせに、姉さんが絡むと、笑顔で非道を行うのだ。
母さんの記憶と平行に、忘れはしないあの事は。