【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「……水樹と氷月は……」


「そこは、知ってる。話してくれたからな。今度、紹介してくれるとさ」


嬉しそうに、微笑む父。


「……相馬も、幸せそうだからな」


この人が一番、気にしていた俺のこと。


「ああ。幸せだよ」


そんな俺の胸元で輝くのは、沙耶から贈られた、誕生日プレゼント。


ラベンダーアメジストで作られたネックレスは、健斗さんから貰った手紙に書いてあった場所にしまってあって。


ネックレスには、別の手紙までついていた。


まだ、開いてはない。


「ところで……」


父はスマホを取り出すと、何かを打ち込んで……


「……〈神経を癒し、ストレスを緩和する石〉
・大切な人との真実の愛を深める
・心配・恐れ・トラウマを解消
・魔よけのお守り石
……ってことなんだが、どうなんだ?」


読み上げたのは、スマホで調べたラベンダーアメジストの効能。


「心配・恐れ・トラウマを解消。は、わかる。わかるんだが……大切な人との真実の愛を深める、は?」


父の確信ついた質問に、俺は信号で止まると同時に項垂れた。


「……あいつ、俺の好きな奴が自分だと思わない奴でさぁ……」


何の進展もないので、もう、知らない。


俺の思う通りに、進める。


手紙でだが、愛してると言われた言葉がたまらなく、嬉しかった。


妊娠で、沙耶を苦しめたのはわかっているのに、だ。


なんだかんだ言って、沙耶は優しすぎるから。


俺は、どんどん非道になる。

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