【完】☆真実の“愛”―君だけを―2



……沙耶らしい、内容だった。


俺は、どんな反応すれば良かったんだろうか。


顔をあげると、相馬は、二個目のネックレスを首につけていて。


その顔には、いろんな感情が浮かんでいた。


「……勝手だろ?だから、俺も勝手にする」


そう言いながら、机の上にあった、小さな箱を開ける。


その中で輝くのは、銀色の指輪。


「それ……」


「こいつが失踪しなければ、誕生日に渡したんだけどな」


相馬は、悲しそうに笑い、沙耶の左手の薬指にそれをつける。


「俺ばっかり、貰うのはもう、嫌なんだ……」


俺にとって、桜は命と等しかった。


相馬も、同じなのだ。


本気で、人を愛して……沙耶の命が消えそうになる度、相馬の命も消えそうになっている。


……手紙を渡すという任務を完了したところで、俺は静かに病室をあとにした。


俺にできることは、何も、なかった。

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