【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
あの時は、憤った。
ただ、苛立った。
でも、今は。
すべてを知って、転生した今は、夕蘭に謝りたかった。
苦しみに気づいてやれなかったと、詫びるつもりだった。
転生後、何度も、何度も、カラダのうちから、夕蘭を呼ぶ声がする。
俺の中にいる、草志が叫んでいるんだ。
そいつの要望を聞きながら、“御園相馬”としての仕事を果たしながら、俺は生きていた。
夕蘭が生まれ変わり、苦しんでいるとも知らずに。
彼女は、沙耶は、夕蘭とうまく付き合えていなかった。
夕蘭の記憶を、自分の妄想だと思ってた。
だから、苦しみから逃れられなくて、苦しんで。
“黒橋沙耶”としての、過去の懺悔もし続けて。
相変わらず、不器用だけど、全力で、自分を隠すことがうまい女だった。