【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
(……嫌だ)
素直に、そう思った。
沙耶と離れたくないんだと。
そして、沙耶は俺の痛いところをつくんだ。
無意識に、笑顔で。
「相馬、好きな人がいるのでしょう?私のことなんかより、そっちを優先しなくちゃ。あ、心配しないで?双子は、私が育てる。明日、会いに行くんだ!」
そう呟く、沙耶の左手の薬指に輝く指輪。
沙耶が眠っている間に、外したり、はめたりを繰り返しているもの。
沙耶が目覚めて、気づいたこと。
沙耶は、左半身の感覚をすべて、失っていた。