【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


『ねぇ、相馬。左足に、力が入らない……左手も……』


触れても、感じなくなってしまった。


仮死状態になったことが原因だった。


『リハビリすれば、大丈夫だよ!』


そう言って、笑ったけれど。


無理だ。


俺は、笑えない。


愛した女の体を、ダメにしてしまった。


すべて、俺のせいだ。


なにかと理由をつけ、沙耶を抱くときに、俺が考えていたのは、沙耶が愛しい。……ただ、それだけ。


後のことなど、全く、頭になかった。


その結果、彼女が俺の子を宿したと言うのなら、俺は心の底から歓喜を叫ぶ。


けれど、彼女の体は丈夫ではない。


生まれつきのそれは、俺のせい。


前世で彼女の苦しみに気づかず、裏切らせてしまった。


そのせいで彼女の身体に課せられた裏切りの罰。


紗夜華と同じように、与えられた罰。


それが、余計に沙耶を苦しめる。


俺の数千年生きた、前世上での最大にして、唯一の過ち。

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