【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
沙耶の腕を引き、腕のなかに閉じ込める。
眠っていたせいで、痩せ細った身体。
俺の腕のなか、腕が余る身体の細さ。
腕の中に来た沙耶を強く、強く抱き締め、耳元で囁く。
「……明日、双子に会いに行こう」
「……一緒に?」
「ああ……」
「じゃあ、早く休まなきゃ!朝イチで行こ!」
沙耶は感覚を失ったせいか、気付かない。
自分の左手の薬指になど、意識を持っていかない。
「おやすみ」
そう言って、布団に潜り込んだ沙耶の額にキスを落とす。
「ああ、おやすみ」
代わりに、沙耶は気づいている。
俺が寝ていないことに。
不安なんだ。
自分が眠っている間に、沙耶の息がまた止まらないか、と。
だから、眠れない。
溜まっている仕事もあるから、その分を沙耶の眠る夜に片付ける。
失踪した沙耶を見つけてから、繰り返されるこの生活。