【完】☆真実の“愛”―君だけを―２

「いない」


そんな私の心のせめぎあいとは対照的に、相馬があっさりと、そんなことを言った。


「え？でも、夏に……」


「あれは……」


彼は、言葉を濁した。


優しい人だから、私を守るために嘘をつく。


私の願いを叶えるため、彼はそばにいてくれる。


そんな、罪滅ぼしみたいなことをさせたくないの。


だって、これは私の意思だから。


「嘘、つかなくていいよ。私は、大丈夫だから……」


すべての覚悟は、出来ている。


私は双子がいれば、大丈夫。


「手紙……」


「手紙？…………あっ！」


ふと、相馬が呟いた。


蘇るのは、書いた内容。


「忘れてたぁ……」


私、愛してるとか、書いてた……っ！


ヤバイ！


それじゃ、私のそばを相馬が離れられないのも無理ないじゃん！


自分で撒いていた種が芽を出し、花をつけていた。


ってか、そもそも。


「なんで、覚えてるのさ……」


恥ずかしいじゃないか。


私は、頬を手で覆った。


若干、熱い気がする。


でも、そんなもので、相馬を縛れない。