【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


沙耶の手が、俺の頬に触れる。


優しくて、冷たい手。


「私は、愛してるよ。“鬼”の貴方も、普通の貴方も。全部含めて、“御園相馬”を愛したんだもん。貴方が自分を狂っていると言うのなら、私はどうなるの?私は、“異常者”だよ?」


異常な親のもとに生まれ、異常な兄に守られた沙耶。


「……これ、やっぱり、相馬でしょう?」


薬指を見せてくる沙耶。


「気づいて、いたのか……?」


「気づかない方がおかしいでしょうが。……で、相馬はどうしたいの」


俺は、どうすれば良い?


お前は、どうすれば、俺の側にいてくれる?


「言って良いよ」


俺の気持ちに、気づいていないんじゃなかったのか?


「……お前は、懸けると言うのか?」


「私に人生を懸けさせたくないから、相馬は私を殺したいんでしょう?だったら、殺せば良いじゃない。でも、それじゃ、矛盾しているよ」


「……」


「本当は、自分が消えたいんだよね。すべてを忘れて、自由になりたいんだよね。でも、いつか、後悔するよ。その選択は、絶対にね」


「……」


「私は相馬を愛してる。それは変わらないと誓えるよ。味方だって、言ったでしょう?」


俺は、沙耶を縛り続けている。


縛りたくないなんて言いながら、ずっと昔から縛り続けているのだ。

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