【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
―嗚呼、この笑顔に幾度、助けられただろう。
沙耶は俺に憧れた、といった。
けれど、俺は辛いことでも沙耶が笑顔を向けてくれるから、頑張れたんだ。
人と区別せず、一人の人間として見、扱ってくれる彼女の平等さ。
昔、決めたことなのに。
今、変わりすぎて、忘れていた。
今も、昔も、俺の望みは一つだけ。
夕蘭が、沙耶が。
幸せに笑っていられる世界を守ること。
前の守るとは、少し違うけれど。
守って見せる。
沙耶も、子供たちも。
明るい笑顔を。
手を伸ばすことを恐れていた。
それなのに、手にいれたかった女。
(―…お前は、誰にもやらない)