【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「……で、ついた先が焔棠家」
そこで、雪さんに核心を突かれ、”壊れた“らしい。
「……ま、あんま、記憶無いけどね。でも、薫が帰ってきたところらへんは、覚えてるよー」
にこにこ笑っているが、どこか、なにかが抜けていて。
「……あの後、相馬とどこに行ったんだ?」
焔棠の家に帰ったことは事実らしく、薫は沙耶に訊ねる。
こいつがここまで、他人に興味を持つなんて……それだけ、沙耶の様子はおかしかったのか。
「相馬の家」
なんてことを考えていると、またもや、考えられないキーワードの出現である。
「はい!?」
驚いたのは、水樹。
「兄さんの部屋に入ったの!?嘘でしょ?マジで?え、俺らも入ったことないのに!?」
その通り。
幼馴染みといえど、相馬は自分の部屋を明かしたことがない。
弟の水樹でも入らない、入れない場所に、相馬は沙耶を連れ込んだ?
……十分に、沙耶に惹かれているじゃないか。