【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「沙耶、相馬」


前の方から、誰かが寄ってきた。


「京子さん!」


「何や、沙耶、元気そうやな」


「元気ですよ!今すぐ走り回りたいくらい!」


「そうか、そうか……よう、生きて戻ったな」


「えへへ……」


相馬の姉であって、さすが、美人。


見ていて、感嘆の息が漏れる。


おまけに、育ちの良さが一挙一動ににじみ出ていて……


これぞ、大和撫子である。


「……沙耶、服が汚れとぉな」


「ああ、これですか?ちょっと……」


状況を察したのか、笑みを深めた京子さんは。


「沙耶、ちょっと、おいで」


相馬から、私の乗る車椅子の主導権を奪い取った。


「あ、おい!」


「ちと、話をするだけや。大人しく待っとき」


慌てる相馬を京子さんが睨み、黙らせる。


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