【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「茅耶、悠哉」
訪ねると、看護師たちが案内してくれる。
「少し、大きくなったか?」
自分の手に収まる、小さな頭。
自分の可愛い子供。
「相馬ー!」
少し重くなった息子を抱いていると、元気な声が聞こえる。
「ごめん、置き去りにして」
ちゃんと、着替えた沙耶は笑い、勢いに任せて、車イスから立……とうとして、ふらつく。
「おわっ……と……お前なぁ……」
「えへへー、ごめん、ごめん」
車イスは大きな音を立て、沙耶は膝を折り……俺は、沙耶の腰に腕を回した。
「あんた、相変わらずねー。運動神経、良い!」
「誉められても、嬉しかねぇよ!」
沙耶は、俺に支えられたまま、『グッジョブ!』と、親指を立てた。
俺は、それにキレる。
「自分の身体のことを理解しろって!」
「転んだくらいじゃ、死なないよ~大丈夫!」
自分のことに激しくズボラな沙耶は笑うばかりで、反省しようとしていない。