【完】☆真実の“愛”―君だけを―2



「……さてと。でね?今日は、その大ちゃんとのことについても話したかったんだけど……麻衣に一応、相談はしたんだよ?そんなことで、沙耶の手を煩わせるのはどうかと思って……さ」


どうやら、それが本題らしい。


煩わせるなんて……そう思いながら、麻衣ちゃんの視線を移すと、麻衣ちゃんも困ったように笑っていた。


「聞いた話は、大事なことですし……沙耶が無理なら、断ってもいいという事で」


「断るわけないじゃん!何でも、力になるよ!できることは、少ないかもだけど……」


私の肩書は、黒橋グループの娘ということぐらいだ。


情報ではある程度どうにかなるだろうが……他にも、父さんの力で強みになることは……


「あ」


「「え?」」


ひとつ、思い当たる。

私の大きな、大きな、強み。


「私、相馬の妻じゃん」


籍は入れたが、御園の古くの重鎮たちに認められる『儀式』を私は受けていなかった。


相馬が受けさせたがらなくて……


だから、御園から言えば、正式な妻ではないらしい私はそういうものとして記憶していたので、相馬の妻を名乗る気はないのであった。


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