【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


でも、相馬の心は、相馬のものだから。


あの人に私を縛れたとしても、私はあの人を縛れなくて……


「……オーイ、沙耶~?」


考え事をしていると、肩を叩かれる。


「……あ、ごめん。麻衣ちゃん、春ちゃん」


「いや、それは良いんだけど……どうした?具合が悪い?相馬に迎えに来てもらう?」


「ううん!大丈夫。ごめんね」


私が退院してからも、一度も、私に触れてくれない相馬に本気で私は愛されているのだろうか。


胸を焼くのは、焦り。


「……沙耶?」


「あー、なんでもないーごめんー」


気を抜くと、相馬のことを考えてしまう。


よもや、重症だ。


頭を抱えると、クスクスと笑われた。

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