【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「うん……。相馬がね、死ぬなって言ったから。死なないよ。生きるよ」


沙耶の人生は、重い。


最初の巫女の彼女は、“裏切り”を起こした最初の巫女でもあったから……罪の代償は、重いのだ。


「でも、それは……」


水樹が、声をあげる。


「うん」


沙耶はそれに頷き、微笑む。


「でもね、それは、夕蘭に対して、言われた台詞じゃないよ。“黒橋沙耶”に“御園相馬”から、与えられた“お願い事”。だからね、生きてあげようと思って。彼の“孤独”が悪化しないように……彼が、一人にならないように……相馬は言ったんだ。『俺は草志と上手く付き合っている。だから、お前も頑張れ。頑張って、夕蘭と友達になれ』って。そして、わざわざ、私に口移しで、生気をくれた。だから、それに報わなきゃね?」


相馬が言ったという言葉に、一番、驚いているのは、たぶん、水樹だ。


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