【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「契約カレカノ?それはー、んー、なんて説明しようかな……簡単に言うと、ギブアンドテイクの関係?私は相馬の力で生き続ける代わりに、相馬が望むことはなんでもするの」
「望むことって……」
「大丈夫。変なことはしないから」
「でもっ……」
柚香は、本当は止めたいのだろう。
沙耶は、すぐに無茶をするから。
でも、沙耶は簡単に引き下がる女ではなく、頑固だ。
だから、誰にも彼女の意志を曲げることはできない。
「いいんだよ!私が良いって言ってるんだから……何かあったら、みんなに必ず、相談する。約束するから……今は、見逃して?私、ちゃんと生きるから。10年後も、柚香のそばで笑うって約束するから」
沙耶は、罪な女だ。
自分の価値にも気がつかずに、闇で自分を染めた沙耶は、死を望んだ。
それを引き留めたのが、相馬。
相馬の生きていて欲しいという願いを、沙耶は叶えるために、相馬と契約を結んだのか。
生きていたいと、望んだのか。
二人はもう、惹かれ合っているのではないか。
……なんて、口に出してはいけないことだと思うのだが。
「……約束、だからね?」
おまけに沙耶のお願いに弱い柚香は、沙耶を抱き締め、赦してしまったから。
二人は本当に親友なんだと思った。
お互いが、お互いの……
夕蘭と桜蘭。
似た者同士なのに、時代が違うがゆえに仲良くはならなかった。
もし、生まれて、生きた時代が一緒だったのなら、二人は姉妹のように仲良い友人となったことだろう。
それはもう遠い、記憶の果てだけれども。