【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「大樹は、黒橋グループを継ぐんだよ?それくらい、御手の物だって。いつも、グータラで、なにもしない……ううん、出来ない奴だけど、昔から頭はいいし、運動神経もいいから」
さらりと、笑顔で毒を吐く春ちゃんの言い分は、私を納得させて。
「それに、私たちもわからないから」
春ちゃんが振り返った先にいたのは、心優とアイラが。
「ごめんなさい、私、英語とフランス語しか……」
「私も。英語とフランス語とイタリア語しか……」
(……うん、私、無理)
「十分だと思うよ。心優、アイラ」
なんだ、こいつら。
感覚がおかしいだろ。
日本に住んでいるのに、英語以外を勉強する意味!!
英語は世界共通語としてわかるけど……他は、あれだろう。
無理だ。
絶対的に無理!!
つか、勉強する意味が私にはない!
会社を継ぐわけでもなし、よし、しなくていい!
本当、感覚が鈍りそうである。
何が常識的なのか、わからなくなる。
学校に行けば、私は異常と言われるけれど、周囲がこれなんだ。
子供が私みたいになっても、誰も文句は言えまい。
因みに、私は英語と辛うじて、イタリア語しかできない。
世界を飛び回る父は、相馬と同じくらい話せるのだろう……と、思っていると。