【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「……個人的には、黒いドレスが良いんだけどな」
「……結婚式に黒いドレスはないでしょうよ」
こいつの脳内、どうなってんだ。
「でも、黒が好きだろ?」
「そりゃ、色としてはね?でも、結婚式って、白とかピンクでしょ?興味なかったから、よくわからないけど」
「ユイラさんは、どうしたんだよ」
「お母さん?お母さんも結婚式は白のドレスを着てたよ。流石に、黒は着ないでしょう。常識的に」
普段、黒の物しか身に付けていないお母さんの影響で、私も幼い頃から着るのは、そういうものばかりだった。
クローゼットを開けると、黒ものしか出てこなくて……最近は、柚香とか、桜とか、真姫とか、夏翠と買い物に行ったら、なるべく、黒以外の物を買うことにしている。(流石に、ピンクは無理だが!)
「それもそうか……」
「なんで、残念そうなのよ。ってか、御園の婚姻って、神前式でしょ?なんで、協会でキリストに愛を誓うのよ?」
「……姉さんが」
「……納得」
十中八九、京子さんに『有り得ない!』とでも言われたのだろう。
女とは遊んでばっかりだったはずの相馬は、驚くほどに女心に疎かった。
(やっぱり、性欲処理だけか……)
まともに付き合っていなかったんだな、と、最近、よく思う。
私のために女心というものを理解しようとしているらしいが、男のくせして理解できるのだろうか?
ちょっとした、疑問である。
まぁ、夢見ている女の子みたいな性格ではないから、良いのだが。