【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「……個人的には、黒いドレスが良いんだけどな」


「……結婚式に黒いドレスはないでしょうよ」


こいつの脳内、どうなってんだ。


「でも、黒が好きだろ?」


「そりゃ、色としてはね?でも、結婚式って、白とかピンクでしょ?興味なかったから、よくわからないけど」


「ユイラさんは、どうしたんだよ」


「お母さん?お母さんも結婚式は白のドレスを着てたよ。流石に、黒は着ないでしょう。常識的に」


普段、黒の物しか身に付けていないお母さんの影響で、私も幼い頃から着るのは、そういうものばかりだった。


クローゼットを開けると、黒ものしか出てこなくて……最近は、柚香とか、桜とか、真姫とか、夏翠と買い物に行ったら、なるべく、黒以外の物を買うことにしている。(流石に、ピンクは無理だが!)



「それもそうか……」


「なんで、残念そうなのよ。ってか、御園の婚姻って、神前式でしょ?なんで、協会でキリストに愛を誓うのよ?」


「……姉さんが」


「……納得」


十中八九、京子さんに『有り得ない!』とでも言われたのだろう。


女とは遊んでばっかりだったはずの相馬は、驚くほどに女心に疎かった。


(やっぱり、性欲処理だけか……)


まともに付き合っていなかったんだな、と、最近、よく思う。


私のために女心というものを理解しようとしているらしいが、男のくせして理解できるのだろうか?


ちょっとした、疑問である。


まぁ、夢見ている女の子みたいな性格ではないから、良いのだが。

< 730 / 759 >

この作品をシェア

pagetop