【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「ともかく、沙耶は大人に近づいて、綺麗になった!だから、見られる!以上!……大体、町中でいつもでしょうが」
「まあね。兄貴たちは、顔は良いからね。性格は、最悪だけど」
うんうん、と、頷けば。
「……あ、なんか、もう、沙耶になに言っても無駄だわ。そっち方面には、すっごく疎いんだった」
「……なにも言わないが、正解だな」
柚香は諦めたように一人で頷き、それに千歳は同意する。
「そっち方面?どっち方面?」
「……もう、沙耶は知らなくて良いよ」
――私も、わからないんですけど……
判らないことを訊ねただけなのに……知らなくて良いとは、どういうことだ。
「真姫も知らなくて良いの」
真姫も判らないらしく、仲間ができたと思った瞬間。
「そうだね、いつか、僕が教えてあげる」
今まで黙っていた、蒼生がそう言った。
一気に真っ赤になる、真姫の顔。
「えっ?なんか、あったわけ?」
可愛い。ものすごく、可愛い。けど……
「……良い雰囲気?」
「前世知ってから、真姫が蒼生の傍にいるようになったの。最初は、蒼生のことを恐がっていたけど……見直した?らしいよ」
「へー」
思わぬところで、話は進むもんである。
「ん?千歳と柚香も最近、ずっと一緒にいるよね?」
思い付く限り、一緒に行動ばかりしている気がするが。
「……それも?」
幼馴染みの恋って、楽しい。
だから、出来ることがあればと思ったのに。
「…………子供は知らなくて良いから、真面目に授業を受けようね?」
と、黒い笑顔で言われた。