【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「……俺、お前の兄ちゃんに勉強習おうかな」
「え?なんでよ」
ぼそり、と、光輝が呟いてくれたお陰で、柚香から目をそらすことに成功した私は、訊ね返す。
「いや……俺、勉強が嫌いでさ」
「知ってるけど」
そもそも、勉強好きがこの世にいるのなら、顔を拝みたい。
即ち、私も好きではない。
「いつもは、なんとか赤点はパスしてきたんだよ」
「うん」
「でも、ここじゃ、そうもいかないでしょ?」
「……ん?」
「俺が通ってたクラス、基本的に、蒼繚華で最下位のクラスだし」
「うん……って、え!?」
相馬たちが元々通っていた、蒼繚華学園。
幼稚園から大学までエスカレーター式で上がれるものであり、金持ちが集まる学校。
経営者は……姫宮である。
「嘘!?」
「ほんと、ほんと。なに?頭よく見える?」
ニカッと笑うが、そういう問題ではないだろう。
「いや、そういう訳じゃないけどさ……風斗は、頭が良いから」
そう、光輝の護衛は風斗だ。
前世はともかく、現在、光輝の護衛である風斗は、光輝のそばから離れられないはず。
これでも、光輝は社長子息だから。
「俺の護衛係でもあるからね~勿論、同じクラスだったよ」
ちゃらけた光輝の横で、風斗が呟く。
「お陰様で、一位以外は取ったことがないがな」
……それは、良いのか、悪いのか。
確か、蒼繚華学園は、かつて、私が入学するかどうか、問われた学校である。