【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「なん……で……」


沙耶として、気が付いたのだろうか。


彼女の瞳は、強い。


そうだ、その瞳だ。


夕蘭に振り回されるな、前世に振り回されていては、現世では生きられない。


「……俺の力を分けた。だから、もう、死ぬなよ」


「……どういう意味?」


「お前には、力が無さすぎる。だから、俺の力で命を吹き込んだ。これで……」


沙耶の頬を撫でる。
くすぐったそうに身動ぎした沙耶は、俺を見上げて。


「……大丈夫だ。少なくとも、今は」


そうだ。
これは、今だけの魔法。

いつかは、解けてしまう魔法。

守りたいのに、俺にはもう、力がない。


「今は……そっか、寿命が延びるわけ、ないもんね」


雪さんは、生かしたかったのだろう。


初めから、死ぬことが決まっているとすべてを諦める沙耶に諦めさせたくなかったのだろう。


だから、わざと、沙耶を追い詰めた。


……生きていて、欲しいから。

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