【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「……でも、成績は良かったでしょ?」
「まあな……」
大兄ちゃんのことを知っている先生は、懐かしさに笑った。
「授業でないくせに、成績はよくて……お前の兄貴として、ピッタリだな。本当、DNAはどうなってんだか……」
「父さんにいってください」
戸籍上が兄弟なのでこう返すが、ぶっちゃけ、父さんのDNAのせいで私たちの記憶力が良いとは言えない。
だって、父さんの血を、大兄ちゃんは一滴も持っていないから。
そう考えると、私たちの異常な記憶力は、大兄ちゃんと共通の母親の血と言える。
大兄ちゃんのお母さんと、私のお母さんは双子だから……繋がりで、藤島グループの血筋が、頭が良いと言うことになるのだ。
「教科書のことは、本当に気にしないでください。しようと思えば、誰がやったのかなんて、すぐにわかりますし」
頼めば、湊辺りが一日で洗ってくれる。
「望めば、指紋と写真つきですよ。やってみます?」
学年主任がクラス内を見たので、同じように視線を移し、ニッコリと微笑む。
「ほうら、怪しい人がいーっぱい」
私の笑顔で、顔色が変わった人間。
「虐めを止めるつもりなら、よろしくお願いしますね?せんせ」
先生の肩をポンッ、と、叩く。
「被害者が、私だけの時はまだしも……もし、柚香たちに被害が及ぶことがあれば、遠慮なく、消しますから」
相手が一般人だろうが、知ったことか。
勝手に、相手が転校していくというのに。
こんなとき、私は本当に父さんの子供だなということを実感する。
先生は、ひきつった顔で苦笑して。
「……お前、やっぱり、一般人の雰囲気じゃねぇな」
と、言った。