【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
□柚香side■




沙耶は、普段はかわいい女の子。


どこにでもいるけど、ちょっとズレたところもある女の子。


お母さんであるユイラさんの容姿、そのままである沙耶は、昔からモテると同じように、虐められてきた。


ニコニコ笑ってて、ポーカーフェイスに長けた子だけど、沙耶は本気で怒ると、黙る。


そして、寒気がするような目で見るのだ。


そんな目を向けられた人間は、大抵が、自分を小さく思うようになり、一瞬で、沙耶に支配される。


今だって、そうだ。


先生に呼び出された沙耶は、何か話したあとに、先生と一緒に教室を覗き込んだ。


そして、教室全体にあの目を向けた。


刹那、下らない話で下品な笑い声をあげていた集団が黙った。


十中八九、沙耶の私物を捨ててきた集団で、相馬たちの横を望んでいる、愚かな女狐どもである。


女狐どもは、顔を真っ青にして、沙耶を見つめた。


沙耶は妖艶に笑うばかりだったけれど、先生の顔もひきつっている辺り、”何か“を言ったのだろう。



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