偽装新婚～イジワル御曹司の偏愛からは逃げられない～

「い、いもうと？」
驚きのあまり、調子のはずれた声が出た。光一さんが渋面のまま、口を開く。
「俺の異母姉」
手を梨花さんの方に向けながら、そう言った。
あね……姉……お姉さん⁉

「どーも！光一の姉です！若く見えると思うけど、光一と同い年なのよ。同い年の異母姉ってねー、ほんとクズよね、あのクソ親父」
「前にちらっとだけ話したけど、紹介した兄以外にも、異母兄とこの梨花と……一応四人兄弟なんだよ」

衝撃が大きすぎて理解が追いついていないけれども……私は光一さんと梨花さんを交互に見比べてみる。

（そう言われると、このふたり顔立ちも雰囲気もよく似てるかも）

「私は結婚式にも参列する気満々だったのに、光一がダメって言うから我慢したのよー」
「うちの非常識すぎる家庭を、いきなりすべてさらす気にはなれなかったんだよ」
「大丈夫よ〜！私、遺産とか興味ないし。自分で稼いでるからさ。だから安心してね、華ちゃん」
梨花さんは私の手を取ると、ぎゅっと握り締めた。
「は、はぁ……」
「梨花は元モデルで、いまはモデル事務所を経営してるんだ」
元モデル……さすが光一さんのお姉さん。うちの家系とは大違いの華やかさだ。
「こっちは私の息子！リョウよ！父親は光一じゃないからね」
梨花さんは私によく見えるように、赤ちゃんを抱きあげてくれた。
「当たり前だろうが」
光一さんが呆れた顔でつっこむ。
異母姉弟なんて複雑なのかと思いきや、ふたりは仲がよさそうだ。