偽装新婚~イジワル御曹司の偏愛からは逃げられない~
彼女たちの頼みをいつも笑顔で引き受けてる華の様子が、俺の脳裏に浮かぶ。いくらなんでも彼女が不憫な気がして、心が痛んだ。
(やっぱり、いいように使わてるだけじゃないか)
自分のことでもないのに、やけに腹が立った。
だが、彼女たちを心底軽蔑しかけていた俺の耳に飛び込んできたのは、意外な言葉だった。
「けど、須藤さんに取られるくらいなら、断然華さん応援する!」
「だね~。須藤さんなら、私でもいけるかなって気もするけど、華さん選ばれたら、ある意味降参って感じだわ」
「むしろ鈴ノ木さんの株がさらにあがるよね」
「須藤さん選ぶような男なら、がっかりだけどねー」
「あっ。やっと空いた~。行こ、行こ」
俺はそっと扉を開けた。トイレへ入っていく彼女たちの姿を横目に、驚きを隠せないでいた。
(こういう場面で、悪口以外を聞くのは初めてだな)
あの子達がああ見えて性格がいいのか、華が特別な存在なのか……。
まったく判断がつかなかった。
席に戻ると、華は他の男と話をしていた。向かいに座っている別の子に声をかけられたので、しばらくは彼女の話に付き合うことにした。
彼女の顔にはなんとなく見覚えがあった。同僚がよく『可愛い、可愛い』と騒いでいるからだ。たしかに今日いるメンバーの中では一番美人なように思える。たしか名前は……。
「えっと、みきちゃんだっけ?」
「美香ですよー。み・か!」
「ごめん、美香ちゃんか。あのさぁ、白川さんてどんな子?」
「おっ。やっぱ鈴ノ木さん、華さん狙いなんですね~」
「まぁ……そうかも」
(やっぱり、いいように使わてるだけじゃないか)
自分のことでもないのに、やけに腹が立った。
だが、彼女たちを心底軽蔑しかけていた俺の耳に飛び込んできたのは、意外な言葉だった。
「けど、須藤さんに取られるくらいなら、断然華さん応援する!」
「だね~。須藤さんなら、私でもいけるかなって気もするけど、華さん選ばれたら、ある意味降参って感じだわ」
「むしろ鈴ノ木さんの株がさらにあがるよね」
「須藤さん選ぶような男なら、がっかりだけどねー」
「あっ。やっと空いた~。行こ、行こ」
俺はそっと扉を開けた。トイレへ入っていく彼女たちの姿を横目に、驚きを隠せないでいた。
(こういう場面で、悪口以外を聞くのは初めてだな)
あの子達がああ見えて性格がいいのか、華が特別な存在なのか……。
まったく判断がつかなかった。
席に戻ると、華は他の男と話をしていた。向かいに座っている別の子に声をかけられたので、しばらくは彼女の話に付き合うことにした。
彼女の顔にはなんとなく見覚えがあった。同僚がよく『可愛い、可愛い』と騒いでいるからだ。たしかに今日いるメンバーの中では一番美人なように思える。たしか名前は……。
「えっと、みきちゃんだっけ?」
「美香ですよー。み・か!」
「ごめん、美香ちゃんか。あのさぁ、白川さんてどんな子?」
「おっ。やっぱ鈴ノ木さん、華さん狙いなんですね~」
「まぁ……そうかも」