偽装新婚~イジワル御曹司の偏愛からは逃げられない~
狙っているわけではないが、がぜん興味がわいたのは事実だった。
美香はふ~んと面白がるように俺の顔をのぞきこむ。

「見てのとおり、地味めですよね。容姿は、私を上の中とすると、華さんは中の中ってとこかな?」
「……いいね、その1ミリも謙遜しないとこ」
なんとなく、美香は姉の梨花に通ずるところがあるなと、俺は苦笑した。
「特別頭がいいわけでも、仕事ができるわけでもないですよ。もうすぐ三十路だってのに、まだ結婚に夢抱いてますし」
「ふぅん。じゃあ、プロポーズしたら受けてくれるかな?」
「泣いて喜ぶと思いますよ。けど……鈴ノ木さん、万が一にも華さん泣かしたら会社にいられなくなりますからね」
美香はきっと俺を睨みつけた。可愛いらしい顔立ちのわりに、妙なすごみがある。
「なんで?」
「わたしたちが全力で、鈴ノ木さんの悪評を広めるからですよ!あと寿退社はさせないでくださいね」
「彼女、そんなに仕事できないって、言ってなかった?」
「でも、華さんがいないと会社つまんないし! 嫌なことあっても、華さんに聞いてもらうとすっきりするの。私だけじゃなくて、みんなそう。華さんの癒しパワーはある意味、才能ですね」
「へぇ」
「男の人って、女同士はみんな仲悪いとか思ってる人多いですけど、そんなことないんですよ。好かれる女には好かれる理由が、嫌われる女には嫌われる理由が、ちゃんとあるんです」
「なるほど。勉強になるな」
「同性に好かれる女は値打ち高いですよ!ってことで、華さんはオススメです。あっ、もちろん一番のオススメは私ですけどね」











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