偽装新婚~イジワル御曹司の偏愛からは逃げられない~
合コンはほどほどに盛り上がり、『また同じメンツで飲もう』というお決まりの台詞でお開きになった。

一番最後に店を出た俺は、同じく女性陣の最後尾を歩く華に声をかけた。
「お疲れさま。遅くまで付きあわせて悪かったね」
「いえ。とっても楽しかったです」
華は頬を染めて、はにかむように笑った。
「俺も。本音をいえば、もう少しゆっくり話したかったな。ーーまた会える?」
「はい!またみんなで飲みに行きましょう」
デートの誘いのつもりだったが、見事にスルーされてしまう。
小さく手を振って帰っていく華の後ろ姿を、光一はいつまでも見送っていた。

地味でおとなしくて、いいように利用されている子。そんな華の印象は、俺の間違えた思いこみだったようだ。利用されていたわけではない。あの性格は彼女の唯一無二の武器なのだ。光一には、ないものだった。

(ああいう子となら、窮屈じゃない結婚生活が送れるかな)












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