偽装新婚~イジワル御曹司の偏愛からは逃げられない~
新庄は顔を真っ赤にして、光一さんに唾を飛ばす。
気が弱いわりには、プライドが高いのだろう。案の定、「名誉棄損で訴える」という
セクハラ男お決まりのフレーズをはいていた。
「訴えてくださっても一向に構いませんよ。あなたの上司も交えて、一度話し合いの席
を設けましょうか」
興奮する新庄に対し、光一さんは冷静なままだ。結局、光一さんに追い払われるようなかたちで新庄は帰っていった。
「__大丈夫か?」
新庄の背中が見えなくなるのを確認した後で、光一さんは私を振り返った。
その声が意外にも優しいものだったことに、私は驚いた。
『セクハラくらい適当にあしらえないのか』と嫌みを言われるものとばかり思っていた。
「え?あぁ、私は大丈夫。たまにあることだし慣れてるから。それより、あの男、
粘着質そうだったから本当に訴えてきたりしないかな。三島物産との関係が悪くなったりしたら、どうしよう」
あの男はともかく、三島物産は大事な取引先のひとつだ。
「あんな仕事もろくにできなさそうな男、クビにするいい口実になったと逆に感謝される
んじゃないか? まぁ、システム課には念のため俺からフォローを入れとく。お前はなにも
心配しなくていい」
「……ありがとう」
光一さんの力強い言葉に、私は素直にうなずいた。
「それと、セクハラは慣れる必要なんてないだろ。嫌な思いをしたら、きちんと上司に報告しろ」
気が弱いわりには、プライドが高いのだろう。案の定、「名誉棄損で訴える」という
セクハラ男お決まりのフレーズをはいていた。
「訴えてくださっても一向に構いませんよ。あなたの上司も交えて、一度話し合いの席
を設けましょうか」
興奮する新庄に対し、光一さんは冷静なままだ。結局、光一さんに追い払われるようなかたちで新庄は帰っていった。
「__大丈夫か?」
新庄の背中が見えなくなるのを確認した後で、光一さんは私を振り返った。
その声が意外にも優しいものだったことに、私は驚いた。
『セクハラくらい適当にあしらえないのか』と嫌みを言われるものとばかり思っていた。
「え?あぁ、私は大丈夫。たまにあることだし慣れてるから。それより、あの男、
粘着質そうだったから本当に訴えてきたりしないかな。三島物産との関係が悪くなったりしたら、どうしよう」
あの男はともかく、三島物産は大事な取引先のひとつだ。
「あんな仕事もろくにできなさそうな男、クビにするいい口実になったと逆に感謝される
んじゃないか? まぁ、システム課には念のため俺からフォローを入れとく。お前はなにも
心配しなくていい」
「……ありがとう」
光一さんの力強い言葉に、私は素直にうなずいた。
「それと、セクハラは慣れる必要なんてないだろ。嫌な思いをしたら、きちんと上司に報告しろ」