偽装新婚~イジワル御曹司の偏愛からは逃げられない~
第3章 仲良し夫婦大作戦!?
その週末。さわやかな土曜日の朝。
私はパジャマ姿のまま珈琲を飲む光一さんに、白い紙を差し出した。
「まずはお互いを理解するところから始めてみましょ。はい、この紙に
私の良いところをたくさん書いて。私も書くから」
光一さんは眉間にしわを寄せて、私を見返す。
「小学校の学級会じゃあるまいし……意味ないだろ」
「意味があるかどうかは、やってみてから考えるの!」
「はいはい。承知しました、奥さん」
私の剣幕におされて、光一さんは渋々ながら紙を受け取る。
「__できた?」
5分ほどして、私は自分の紙がずいぶんうまったことを確認してから、光一さんに問う。
「う~ん、まぁいくつかは」
こっちは紙いっぱい書いたというのに、いくつかとは薄情なものだ。
そうは思うものの、最初からケンカ腰ではうまくいくものもいかなくなる。
私はつとめてにこやかな表情を浮かべた。
「じゃあ、交換ね」
光一さんの字はとても美麗だった。本当に嫌みなほど、欠点のない人だ。
けれど、美しい文字でつづられた文章には首をかしげざるをえない。
『華の長所。その一、地味。服だのアクセサリーだのに無駄に金がかからない。
その二、家事が得意。俺は平日は時間がないから、ありがたい』
「いくつかって……ふたつだけ? しかも、地味ってなんも褒めてないし」
『光一さんは私にベタ惚れ』とか、そんな図々しいことはもちろん思っていない。
けど、ここまで徹底して愛されていないとも思っていなかった。
「うぅ……自分でした提案に、こんなに打ちのめされるとは」
私はパジャマ姿のまま珈琲を飲む光一さんに、白い紙を差し出した。
「まずはお互いを理解するところから始めてみましょ。はい、この紙に
私の良いところをたくさん書いて。私も書くから」
光一さんは眉間にしわを寄せて、私を見返す。
「小学校の学級会じゃあるまいし……意味ないだろ」
「意味があるかどうかは、やってみてから考えるの!」
「はいはい。承知しました、奥さん」
私の剣幕におされて、光一さんは渋々ながら紙を受け取る。
「__できた?」
5分ほどして、私は自分の紙がずいぶんうまったことを確認してから、光一さんに問う。
「う~ん、まぁいくつかは」
こっちは紙いっぱい書いたというのに、いくつかとは薄情なものだ。
そうは思うものの、最初からケンカ腰ではうまくいくものもいかなくなる。
私はつとめてにこやかな表情を浮かべた。
「じゃあ、交換ね」
光一さんの字はとても美麗だった。本当に嫌みなほど、欠点のない人だ。
けれど、美しい文字でつづられた文章には首をかしげざるをえない。
『華の長所。その一、地味。服だのアクセサリーだのに無駄に金がかからない。
その二、家事が得意。俺は平日は時間がないから、ありがたい』
「いくつかって……ふたつだけ? しかも、地味ってなんも褒めてないし」
『光一さんは私にベタ惚れ』とか、そんな図々しいことはもちろん思っていない。
けど、ここまで徹底して愛されていないとも思っていなかった。
「うぅ……自分でした提案に、こんなに打ちのめされるとは」