偽装新婚~イジワル御曹司の偏愛からは逃げられない~
第1章 悪夢のはじまり
土曜日のお昼過ぎ。陽当たりのよいリビングに置かれた小さなベビーベッド。そっとのぞきこんでみれば、丸々とした頬が愛らしい赤ちゃんがスヤスヤと眠っている。
「いや〜。梨々ちゃん、ほんと天使だね!かわいすぎる〜」
悶絶する私に、天使のママは冷静な声で答える。
「夜中は悪魔だけどね。三時間起きの授乳なんて大嘘!三十分も寝れやしないわよ」
高校時代からの親友、悠里は四ヶ月ほど前に女の子を出産したばかりだ。初めての育児はやはり大変なのか、元々痩せ型だった彼女の体はあっという間に出産前に戻っている。大きな目の下には、これまで見たことのない深いクマが出現していた。
「そっか。かわいいばかりじゃないよね、やっぱり」
「まぁね〜。職業柄、子どもの相手は慣れてると思ってたけど、自分の子どもとなるとまた違うわ」
悠里は私がお土産に持ってきたチーズケーキをテーブルに並べながら、ため息をついた。
現在は産休中だが、悠里は小児科の看護師だ。臨月直前まで大学病院でバリバリ仕事をしていた。そんな彼女を仕事以上に疲弊させてしまうのだから、育児とは恐ろしいものだ。
「って‥‥ごめん、ごめん。今日は私の育児ストレスより華の方がよっぽど深刻だったね」
「そうなのよ〜助けて、悠里!もうどうしたらいいのか、わからない」
「まずさ、ちょっときついこと言っていい?」
「いや、いま死ぬほど傷ついてるからこれ以上は勘弁してーー」
「うん。じゃあ言うけど」
「ちょっと!聞きたくないってば」
私は思わず耳をふさいだけれど、親友の辛辣なひと言ははっきりと聞こえてしまった。
「はっきり言って、自業自得」
「え〜〜私が悪いの?」
「旦那様もちょっと、いや、かなりか。どうかと思うけど、華も華だよ。だって私、スピード婚は危険だってあんなに忠告したじゃない」
「いや〜。梨々ちゃん、ほんと天使だね!かわいすぎる〜」
悶絶する私に、天使のママは冷静な声で答える。
「夜中は悪魔だけどね。三時間起きの授乳なんて大嘘!三十分も寝れやしないわよ」
高校時代からの親友、悠里は四ヶ月ほど前に女の子を出産したばかりだ。初めての育児はやはり大変なのか、元々痩せ型だった彼女の体はあっという間に出産前に戻っている。大きな目の下には、これまで見たことのない深いクマが出現していた。
「そっか。かわいいばかりじゃないよね、やっぱり」
「まぁね〜。職業柄、子どもの相手は慣れてると思ってたけど、自分の子どもとなるとまた違うわ」
悠里は私がお土産に持ってきたチーズケーキをテーブルに並べながら、ため息をついた。
現在は産休中だが、悠里は小児科の看護師だ。臨月直前まで大学病院でバリバリ仕事をしていた。そんな彼女を仕事以上に疲弊させてしまうのだから、育児とは恐ろしいものだ。
「って‥‥ごめん、ごめん。今日は私の育児ストレスより華の方がよっぽど深刻だったね」
「そうなのよ〜助けて、悠里!もうどうしたらいいのか、わからない」
「まずさ、ちょっときついこと言っていい?」
「いや、いま死ぬほど傷ついてるからこれ以上は勘弁してーー」
「うん。じゃあ言うけど」
「ちょっと!聞きたくないってば」
私は思わず耳をふさいだけれど、親友の辛辣なひと言ははっきりと聞こえてしまった。
「はっきり言って、自業自得」
「え〜〜私が悪いの?」
「旦那様もちょっと、いや、かなりか。どうかと思うけど、華も華だよ。だって私、スピード婚は危険だってあんなに忠告したじゃない」