偽装新婚~イジワル御曹司の偏愛からは逃げられない~
光一さんが少し驚いた顔をした。
私は慌てて、言い訳のように言葉を繋いだ。
「その……安心したら、いまさら怖くなっちゃったっていうか。一人になると思い出しちゃいそうで」
それは嘘ではなかった。勘違いか痴漢かストーカーか、それはわからないけど、こんなに怖い目にあったのは初めてだったし、いまだに膝がガクガクと震えている。
だけど、それだけじゃない。一番の理由はもっと単純なものだ。
もう少しだけ、彼の側にいたい。離れたくない。
うぬぼれかも知れないけど、光一さんが決して開けてくれなかった心の扉がいま少しだけ開きかけているような気がするのだ。
「…………」
「…………」
あれ? やっぱり私のひとりよがりな思い込みだったのだろうか。
光一さんはなにも言ってくれない。
困惑したような顔でこちらを見ている。
「お願いだから、なにか言って……」
いたたまれなくなった私は彼から視線をそらし、うつむいた。
ひとりで勝手に盛り上がっていた自分が恥ずかしくなってきた。
『やっぱり、いまの発言は取り消しで!』
そう言いかけたところで、光一さんがぽつりと口を開いた。
「それはまぁ、かまわないけど……」
「え?」
「いや、やっぱ無理そう」
光一さんは頭を抱えている。
はっきり言って、様子がおかしい。
自分のことでいっぱいいっぱいで気がつかなかったけど、彼らしくもなく動揺
しているみたいだ。
。
私は慌てて、言い訳のように言葉を繋いだ。
「その……安心したら、いまさら怖くなっちゃったっていうか。一人になると思い出しちゃいそうで」
それは嘘ではなかった。勘違いか痴漢かストーカーか、それはわからないけど、こんなに怖い目にあったのは初めてだったし、いまだに膝がガクガクと震えている。
だけど、それだけじゃない。一番の理由はもっと単純なものだ。
もう少しだけ、彼の側にいたい。離れたくない。
うぬぼれかも知れないけど、光一さんが決して開けてくれなかった心の扉がいま少しだけ開きかけているような気がするのだ。
「…………」
「…………」
あれ? やっぱり私のひとりよがりな思い込みだったのだろうか。
光一さんはなにも言ってくれない。
困惑したような顔でこちらを見ている。
「お願いだから、なにか言って……」
いたたまれなくなった私は彼から視線をそらし、うつむいた。
ひとりで勝手に盛り上がっていた自分が恥ずかしくなってきた。
『やっぱり、いまの発言は取り消しで!』
そう言いかけたところで、光一さんがぽつりと口を開いた。
「それはまぁ、かまわないけど……」
「え?」
「いや、やっぱ無理そう」
光一さんは頭を抱えている。
はっきり言って、様子がおかしい。
自分のことでいっぱいいっぱいで気がつかなかったけど、彼らしくもなく動揺
しているみたいだ。
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