偽装新婚~イジワル御曹司の偏愛からは逃げられない~
「いや、たしかに否定はしないよ。お互いが納得してるなら、仮面夫婦もひとつの夫婦の形なのかなとは思う。けど、私は、やっぱり……光一さんに他に恋人とか、その人との間に子どもが……とか、考えるだけで悲しくなる」
光一さんに私以外の女性の影か。リアルに想像できてしまうのが、つらいところ。私のテンションはだだ下がりもいいところだ。
「ふぅん。夫に、じゃなくて、俺に?
俺に他に女がいたら嫌なの?」
「うん?」
その問いの意味がいまいちわからず、私は彼を見返す。
「あっーー」
射抜くように私を見つめる光一さんの瞳はやけに熱っぽい。その瞬間、私は彼の言葉の意味に気がついてしまった。
そうだ。初めて『仮面夫婦でいたい』って言われたとき、そんな冷たい夫婦関係なんて嫌だって思った。仲の良いあたたかい夫婦が理想だって。でも、あの時描いた夫のイメージは漠然としていて、まだ輪郭がなかった。顔にはもやがかかっているような、そんな感じだった。
けど、いまは、夫と聞けば光一さんしか浮かばない。夫婦は、私と光一さんのことだ。
『仮面夫婦が嫌』なのではなくて、『光一さんと仮面夫婦を演じることが嫌』に、はっきりと変わっていた。
私は、光一さんと仲の良い、素敵な夫婦になりたいんだ。
自覚してしまうと、急に恥ずかしくなる。だって、告白したようなものじゃない?
そもそも、こんな些細な言葉の選び方に気がつく光一さんて……やっぱり察しの良すぎる男はどうかと思う。
なんて、心の中で光一さんに八つ当たりを試みる。
光一さんに私以外の女性の影か。リアルに想像できてしまうのが、つらいところ。私のテンションはだだ下がりもいいところだ。
「ふぅん。夫に、じゃなくて、俺に?
俺に他に女がいたら嫌なの?」
「うん?」
その問いの意味がいまいちわからず、私は彼を見返す。
「あっーー」
射抜くように私を見つめる光一さんの瞳はやけに熱っぽい。その瞬間、私は彼の言葉の意味に気がついてしまった。
そうだ。初めて『仮面夫婦でいたい』って言われたとき、そんな冷たい夫婦関係なんて嫌だって思った。仲の良いあたたかい夫婦が理想だって。でも、あの時描いた夫のイメージは漠然としていて、まだ輪郭がなかった。顔にはもやがかかっているような、そんな感じだった。
けど、いまは、夫と聞けば光一さんしか浮かばない。夫婦は、私と光一さんのことだ。
『仮面夫婦が嫌』なのではなくて、『光一さんと仮面夫婦を演じることが嫌』に、はっきりと変わっていた。
私は、光一さんと仲の良い、素敵な夫婦になりたいんだ。
自覚してしまうと、急に恥ずかしくなる。だって、告白したようなものじゃない?
そもそも、こんな些細な言葉の選び方に気がつく光一さんて……やっぱり察しの良すぎる男はどうかと思う。
なんて、心の中で光一さんに八つ当たりを試みる。