天馬空を行く


~柊耶said~


午前中の外来は人が多くて忙しかった。

ハァ~、あと何人くらい患者さん待ってるんだ?


そんな思いをよそに、次々に診察を進めていく。


『春山先生、次の患者さんで午前中の外来は終了です!』



看護師からそう言われ、

最後の患者さんを診終わった後

"やっとか"という思いで肩の力を抜いた。



『春山先生お疲れ様でした。

今日は一段と患者さん多かったですね。』



なんていう会話をした後、
俺のPHSが診察室に鳴り響く。


「はい、春山です。」


『あっ、春山先生!大変ですっ!!

愛夏ちゃんが病室に居なくて……。』


「えっ?どういう事?

ちょっ説明し………

『とにかく、愛夏ちゃんの病室に来て下さい!』



全く現状が理解出来なかった。



唯一、分かる事と言ったら

電話越しから聞こえる
浅香先生の声の焦り具合から

一大事だという、事の重大さだけ。



俺は無意識のうちに診察室を出て
無我夢中で走っていた。


< 118 / 134 >

この作品をシェア

pagetop