天馬空を行く
~柊耶said~
午前中の外来は人が多くて忙しかった。
ハァ~、あと何人くらい患者さん待ってるんだ?
そんな思いをよそに、次々に診察を進めていく。
『春山先生、次の患者さんで午前中の外来は終了です!』
看護師からそう言われ、
最後の患者さんを診終わった後
"やっとか"という思いで肩の力を抜いた。
『春山先生お疲れ様でした。
今日は一段と患者さん多かったですね。』
なんていう会話をした後、
俺のPHSが診察室に鳴り響く。
「はい、春山です。」
『あっ、春山先生!大変ですっ!!
愛夏ちゃんが病室に居なくて……。』
「えっ?どういう事?
ちょっ説明し………
『とにかく、愛夏ちゃんの病室に来て下さい!』
全く現状が理解出来なかった。
唯一、分かる事と言ったら
電話越しから聞こえる
浅香先生の声の焦り具合から
一大事だという、事の重大さだけ。
俺は無意識のうちに診察室を出て
無我夢中で走っていた。