天馬空を行く
"とりあえず、行ってみるか……"
自分の中にある重苦しい気持ちを、
無理やり切り替える。
そして患者のいる病室へと足を運ぶ。
カルテには "佐倉愛夏" と名前が記載されていた。
医院長からその患者の担当を任された。
彼女はベッドで眠っていた。
"やっぱり小さくて細い"
普通のサイズのベッドが大きく見えるくらい。
見るからに、か弱い小さな子ども。
"こんな俺が、彼女のことを救えるのか?"
そんなことを考えながら、
ぼんやりと彼女のことを見つめていた。