天馬空を行く



~篠田said~


鳳山総合病院から連絡があって、

私は施設に人に頼んで愛夏ちゃんを引き取った里親夫婦の家を訪れていた。




そこは大小異なる一軒家が建ち並ぶ、
住宅街の一角にある普通の一軒家だった。



大き過ぎず小さ過ぎない一軒家。



家の前に立ち、外装をまじまじと見る。



すると今度は家の門に軽く手を掛け、
顔を乗り出すように家の中の様子を伺う。



真昼だからか、部屋の中の電気はついておらず人がいる気配もない。




すると、後ろから「あんた、この家に何か用かい?」と声を掛けられる。



振り返ると、そこには70代くらいの年配女性が私の方に向かってくる。


そして再び尋ねてきた。


「ここの家の夫婦なら、当分帰って来ないと思うよ。」



訳が分からず不審に思い、聞き返す。



「あの、帰って来ないってどういう事ですか?」



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