シンデレラLOVERS
日菜琉視点
何をとってもオール3。
つまりは平凡。
毎日普通に学校行って普通に帰って……たまに寄り道もするけど、たいていは家と学校の往復の繰り返し。
ちょっと違うところと言えば、人より背が低くて童顔なところ。
こんな特徴なくていいのに……。
そんな平凡で地味なわたしが今……ちょっと思い切ったことしちゃおうかと思ったりしてる。
今日はお姉ちゃんの葉琉日(はるひ)の専門学校で文化祭をやっている日。
しかも、午後からは葉琉ちゃんのデザインした服がファッションショーのメインでお披露目されるのだ。
わたしはそれが絶対に見たい。
見たいが為に今、裏門を飛び越えて学校を抜け出そうとしているのだ。
親友の芹華(せりか)ちゃん曰く、
「抜け出すなら休み時間より授業中」
っていうアドバイスの通り。
わたしは五限目の真っ直中を狙って教室から抜け出してきた。
芹華ちゃんの言うとおり、先生も生徒も全く見当たらない。
今が絶好チャンスなのに、運動神経3なわたしは、初めてのサボリっていう緊張も手伝ってなかなか上手く門に登れないでいる。
さっきから門に手と足を掛けてみるものの、上手く力が入らない……。
そんな悪戦苦闘するわたしの背後で、
「見ぃちゃった」
「えっ!? わぁっ!」
携帯のカメラの独特な機械音と一緒にやけに弾んだ声が聞こえて、思わず慌てて門から飛び降りた。