シンデレラLOVERS
「……ごめん」
抱き締められたら腕の中で、善雅くんの絞り出すようなごめんが聞こえてきた。
わたしは善雅くんに反省して欲しいワケでも、謝って欲しいワケでもない。
「……違うよ」
「えっ?」
「善雅くんに謝って欲しくて言ったワケじゃないよ」
申し訳なさそうに目を伏せていた善雅くんの手を握り締め、彼の不安そうな顔を見つめる。
まだ、善雅くんの瞳は悲しそうに見えた。
「でも、おまえにひどいことしたし……」
「それでもわたしのこと、好きって言ってくれて嬉しかった……。わたしのこと、選んでくれてありがとう」
だからこう言って、善雅くんが安心してくれるように、ニコッと笑って見せる。
そしたら、またあっという間に彼の腕が伸びてきて、ギュッと強く抱き締められた。
いきなり過ぎて思わず体がキュッと強ばったけど、やっぱり抱き締めれたのが嬉しくて……。
善雅くんに応えるみたいにそっと背中に腕を回した。
そのまま胸元に顔を埋めたらつむじからチュッと音がして、反射的に顔を上げた。
そしたら、今度はゆっくりと近付いた善雅くんの唇がわたしにキスをした。
その優しいキスを受けながら、これからもずっと善雅くんを大事にしていこうと、わたしは心の中で誓うのだった。
おわり