シンデレラLOVERS
「こんにちわぁ~」
友達の誘いで俺が連れてこられたのは、駅前のカラオケだった。
しかもそこで待ち受けていたのは、他校のギラギラした女子たち。
きっちりこっちと同じ人数居る。
「そっちの高校レベル高くない?」
「超男前~!」
香水の匂いをやったら漂わせた女たちが、グロスでテカテカの唇から甲高い声を吐き出す。
真っ黒に縁取られた目元に巻き髪……制服がコスプレにすら見えてしまう年齢詐称メイク。
おまえらそのまんま夜の仕事行けるだろって一言をぐっと飲み込んだ。
気がつけばこの頭悪そうな連中とカラオケの入り口に向かう俺たち。
今更気付いたけど、所謂合コンってヤツらしい。
地味子と帰るよりは……まぁ気晴らしにはなるか。
このことを黙ったまま俺を誘ってきた奴に代金は払わせてやる。
なんて頭の中で一人ごちながら、
「……あっ」
不意に外した視界に見覚えのある顔がよぎった。
次の瞬間。
カラオケの向かいの本屋から出てきた日菜琉とモロに目が合う。
思わず反射的に視線をそらしてしまった。
さすがに俺だってこれは気まずい……。
だって、遊びに行くってメールしといて、こうして女を侍らしてんだから……。
視界の片隅で日菜琉がそのまんま立ち去っていくのがわかる。
これは、やっぱりメールとか来て問い詰められたりするんだろうか。
しょうがないからせいぜい言い訳でも考えとこう。
なんて俺の考えとは裏腹に、結局あの後日菜琉からメールが入ることはなかった。