シンデレラLOVERS
気が付けば時計は昼休みの半ばを差していた。


ほとんど寝てないおかげで授業のほとんどを睡眠に費やす。
これもいつものことだ。


昔から頭の出来は悪くないので、ちょっとばかし授業を聞いてなくても後からいくらでも追い付ける。


適当に昼飯を済ませてくだらない話でダラダラ過ごしてたところで、俺の目の前のヤツが口を開いた。


グラウンドで有り余る体力をサッカーにぶちまけに行く連中から外れて、いつもこうやって体力を別のところで使って項垂れてる俺に付き合ってる奴。


中学からの親友、紘也(ひろや)。


「ヤリたきゃヤッとけ」って言う周りのヤツらと反して、紘也は俺のレベル上げを快く思っていなかった。



……まぁ、俺がこうなった経緯を知ってるからだろう。



「おまえ、いつまで続けんの? こんな生活」


紘也はいつも落ち着いてて真面目なしっかり者だ。
そんな真面目な親友は、どうにかして俺にレベル上げ生活を止めさせたいらしい。


「体力が続く限り~?」


そんな紘也に冗談めかしておちゃらけて答える俺に、あからさまな呆れたため息をついた。


「ヤるなとは言わないけど、せめて相手を特定しろ」


「特定? 彼女作れってことか?」


「そう。ちゃんと向き合える相手見つけろよ」


ちゃんと向き合える相手……ねぇ。
残念だけど、俺にはそんなものに魅力は感じなかった。


特定の一人に気持ちを注ぐなんて暑苦しい青春ごっこなんて、馬鹿馬鹿しくてやってらんない。


「そんなのいらないって」


冗談半分に受け止めて笑いながら答えた俺の態度が、紘也は気に入らなかったみたいでムッとした表情になった。


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