シンデレラLOVERS
日菜琉が俺に何を期待してるのかわかんないけど、俺はそれに応えるつもりなんてさらさらない。
おまえは俺が賭けに勝つ為の一ヶ月限定の彼女だ。
その約束を果たしてくれることしか日菜琉には望んでない。
「で? 弁当箱どうすんの?」
「えっ……じゃあ、わたしの靴箱に入れといてくれるかな。明日持って帰って洗うから」
「明日の弁当は?」
「別のお弁当箱に作ってくるよ」
だから、今のやりとりで日菜琉の声が沈んでいくのも……俺には関係ない。
明日の弁当が確保されたことに安堵し、
「そう? じゃあよろしく」
電源ボタンを押して通話は終了した。
電源って書かれたボタンを押して数秒後。
お大事に、くらい言っとくべきだったか?
なんて、今更柄にも心にも無いことを頭がよぎったけど……まぁ、いいか。
きっと紘也がさっきの会話を聞いてたら、特大の溜め息をついだろう。
ホントに“立派な彼氏だな”って……言いながら。