シンデレラLOVERS
日菜琉視点
「はぁ……八度四分か……」
今日は寝起きからなんとなく体が熱っぽくてダルかった。
きっと寝不足だって自分に言い聞かせながら、制服に着替えてキッチンに立って、昨日の夜に準備していたお弁当作りに取り掛かる。
例え教科書を持っていくのを忘れても、有宮くんのお弁当だけは絶対に忘れられない。
それくらいわたしにとって、有宮くんにお弁当を作るのは大事なことだった。
こうしてなんとか気力で有宮くんのお弁当を作り終える。
その途端に一気に体が重たくなって……観念して熱を計ってみたらあの数字だ。
これじゃあ学校行けないな……。
有宮くんのお弁当どうしよう。
一ヶ月しかない時間の中で有宮くんがわたしに望んだ唯一の出来ること。
それが毎日のお弁当作りと一緒に帰ることだった。
せっかく有宮くんの為に作ったから渡したいのに……。
この一ヶ月間の後ならいくらだって出てもいいから……今だけはどうしても熱なんか出したくなかった。
せめて一ヶ月の間は毎日有宮くんに会いたかったから……。