シンデレラLOVERS
そんなことを思っていたわたしの耳に、
「で? 弁当箱どうすんの?」
ぶっきらぼうな有宮くんの声が聞こえて、慌てて意識を電話の方に戻した。
言われてみればそうだ。
さすがに空っぽのお弁当箱の回収まで芹華ちゃんに頼むのは、申し訳なくて気が引けてしまう。
「えっ……じゃあ、わたしの靴箱に入れといてくれるかな。明日洗うから」
「明日の弁当は?」
「別のお弁当箱に作ってくるよ」
確か……使ってないお弁当箱が食器棚の奥にしまってあった。
大きさに問題はないから、きっといつものお弁当箱の代わりになるはずだ。
「そう? じゃあよろしく」
わたしの答えを聞いた有宮くんはそれだけ吐き捨てるように告げて、そそくさと電話を切ってしまった。
よろしく、か。
しっかり体を治して、明日は学校行かなきゃ。
有宮くんがわたしのお弁当を待ってくれてるんだ。
こうやって有宮くんに必要とされてるのが嬉しいなんて思ってしまう……。
だって裏門でわたしを助けてくれた恩返しが出来るから。
それが今のわたしにとって……何より大事なこと。
こんな素っ気ない一言だけど、有宮くんに言って貰えるとこんなにもわたしは元気になれるんだから。