シンデレラLOVERS

「うん……がんばる」


沈みそうな気持ちを奮い立たせて、出来るだけ精一杯明るい声で返事をした。


記憶の片隅に残りたいけど、重荷にはなりたくない。
意外とワガママで欲張りな自分に嫌気が差す。



でもたった一言、


「おまえと一緒のときに巻くよ」



そんな言葉を頭のどこかで期待してしまった自分が恥ずかしかった。



それっきりどちらとも黙ってしまって、わたしたちは無言で歩き出す。


あなたの体温はすぐ近くにあるのに……いつだってわたしには遠い存在だ。



ねぇ、有宮くん。
今日のお弁当のおかず覚えてる?


今まで有宮くんが美味しいって言ってくれたヤツ、入れられるだけ入れたんだよ。


きっと……そんな会話をしたことすら、有宮くんの中には一欠片だって残ってないよね。



どんなに頭を悩ませてもわたしにはこれぐらいしか、アナタを喜ばせる方法が浮かばなかった。




ねぇ、有宮くん……どうしたら笑ってくれますか?



わたしはただ、アナタの笑顔が見たかった……。
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