シンデレラLOVERS
「……おまえ」
「お疲れ様。補習終わった?」
まだ息が整わないようで、有宮くんは肩で息をしながらわたしの顔をじっと見つめてくる。
有宮くんの様子を不思議に思いながら、わたしはいつも通りの笑顔を作って声をかけた。
「……なんで?」
なんでわたしが補習のこと知ってるのか、ってことを聞いているんだろう。
「有宮くんの友達……城崎くんっていう人が教えてくれたの。補習っ」
隠す必要もないから、城崎くんとのやりとりをありのまま正直に有宮くんに話した。
それを聞いた有宮くんの雰囲気がいつもよりピリッと硬くなる。
この顔はきっと不機嫌で怒ってるんだ。
でも、その理由がわたしにはわからない。
「ぼーっと待ってないで、メールでも電話でもしてくればいいだろっ」
眉をひそめた有宮くんが、吐き捨てるように言ってわたしにキツイ視線を向ける。
……それもそうだ。
城崎くんが来てくれたから良かったけど、あのまま何も知らずにぼーっと待ってるなんて……バカみたいだもんね。
そう思ったらなんだか自己嫌悪でヘコんでしまう。
「そうだね……。ごめんね」
自己嫌悪でヘコんでるのがわかったら、ますます有宮くんに嫌がられてしまうかもしれない。
だからそれを隠そうとなるべく自然に笑いながら、有宮くんに謝った。
そんなことしたって有宮くんが笑ってくれるわけじゃないってわかってるのに……。
でも、ヘコんだ顔して嫌がられるよりも、笑ってる顔で鬱陶しがられる方がマシだから。