シンデレラLOVERS
「……っ」
「…………」
すぐ傍にあった小さな冷たい手を軽く握った俺に、日菜琉は驚いたように見開いた目でこちらを向いた。
それに気付かないふりをして、俺はただ真っ直ぐにイルミネーションを見つめ続けた。
少しずつ温もってきた日菜琉の指先が、ギュッと力強く俺の手のひらを握り返してくる感覚。
それに安心してしまう自分が不思議だった。
せめてもの罪滅ぼしで誘った寄り道先で握った手は、冷たくて小さい。
この手が俺の為に弁当を作ったり、誕生日のプレゼントを作ったりしてくれたんだと思ったら……ほんの少しだけ愛しく思えた。
日菜琉の夢をこんな真似事の彼氏の俺が叶えても、今までのぞんざいな態度がチャラになるとは思ってない。
それでもせめて、最低な彼氏だったなんて思わないで欲しい……。
そんな身勝手野郎のワガママは、どこまで伝わってるのかわからないけど。
俺は日菜琉のこと何も知らないくせに……日菜琉ならわかってくれるなんて、都合良くも願ってしまうのだった。