シンデレラLOVERS
そして高一の冬。
俺の誕生日を目前に、俺らは初めて男女の関係を持つことになった。
それが俺らの別れのキッカケ。
緊張しまくりの童貞男を前に、
「わたし相手に失敗するとか有り得ない。だから初めての男ってイヤなのよっ」
ため息混じりに冷たくこう言い放った経験豊富な女の顔が、今でも忘れられないトラウマになってる。
そのまま静葉からの連絡はパタリとなくなり、俺らの関係は自然消滅という形で幕を閉じた。
最初から最後まで静葉のお人形でしかなかった俺。
この静葉を見返したい一心で、今の俺の経験値積みまくりのレベル上げ生活は始まったのだった。
そして今、ずっと見返したかった静葉が俺の目の前で微笑んでいる。
「……その娘、彼女?」
隣にいた日菜琉を横目に見た静葉が俺に尋ねてくる。
自分と別れてからこんな地味な女と付き合ってるって知ったら、静葉に落ちぶれたって思われるんじゃないか。
「いや」
そう思ったら、口が勝手に動いて静葉の言葉を否定していた。
俺の答えを聞いた日菜琉は、どんな顔したんだろ……。
それを思うと怖くて日菜琉の顔が見れなかった。
俺の答えを聞いた目の前の女は嬉しそうに笑って、
「良かった~! 善くんの趣味が変わっちゃったのかと思ったよ」
甲高い声でこう言って、何の躊躇いも無く俺の腕に飛びついてきた。
そして、切れ長で大きな二重の瞳で俺を覗き込みながら囁いたのた。
「ねぇ、やり直そうよ?」
予想もしていなかった甘い囁きに、俺の思考は麻痺して鈍くなっていった。